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第1問(変数の型の判別)
解答例
正解: 年齢、血清クレアチニン濃度
解説: 連続変数は、理論上ある区間内で連続的な値をとりうる量的変数である。年齢や血清クレアチニン濃度は測定量として扱える。一方、病期分類・性別・主訴はカテゴリとして扱う。
第2問(要約統計量の選択)
解答例
正解: 平均、標準偏差
解説: 平均は中心傾向、標準偏差はばらつきを表す。個々人の値や正常範囲は、標本全体の要約統計量ではない。
第3問(箱ひげ図の解釈)
解答例
正解: 中央値は箱ひげ図から読み取ることができる
解説: 箱ひげ図では箱の中の線が中央値を表す。一方、平均値や標準偏差は通常の箱ひげ図から直接はわからない。
第4問(分布形状の推定)
解答例
正解: (3)
解説: 箱ひげ図では上側のひげが長く、高値側に外れ値または裾の長さが見られるため、分布は右に歪んでいると考えられる。 したがって、右に裾を引くヒストグラムである(3)が最も近い。
二値データと二項分布
第1問(二項分布:確率の計算)
解答例
二項分布の確率関数は
\[\Pr(X=k)=\binom{n}{k}p^k(1-p)^{n-k}\]
である。
\[\Pr(X=2)=\binom{4}{2}\left(\frac{1}{3}\right)^2\left(\frac{2}{3}\right)^2 =\frac{24}{81}\]
\[\Pr(X\le 2)=\Pr(X=0)+\Pr(X=1)+\Pr(X=2) =\frac{16}{81}+\frac{32}{81}+\frac{24}{81} =\frac{72}{81}\]
答: (1) \(24/81\)、(2) \(72/81\)
第2問(二項分布:応用・無効確率)
解答例
1人に効果がない確率は \(1-p=0.5\) である。3人とも無効である確率は
\[(0.5)^3=0.125\]
である。
答: 0.125
第3問(二項分布:期待値と分散)
解答例
二項分布 \(B(n,p)\) では
\[E[X]=np, \qquad \mathrm{Var}(X)=np(1-p)\]
である。したがって
\[E[X]=12\times 0.5=6\]
\[\mathrm{Var}(X)=12\times 0.5\times 0.5=3\]
答: 期待値 6、分散 3
第4問(標本比率:期待値・標準誤差・分散の性質)
解答例
標本比率 \(\hat p = X/n\) の期待値と分散は
\[E[\hat p]=p, \qquad \mathrm{Var}(\hat p)=\frac{p(1-p)}{n}\]
である。
\[E[\hat p]=0.5\]
\[SE(\hat p)=\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}} = \sqrt{\frac{0.5\times 0.5}{12}} \approx 0.1443\]
\[\mathrm{Var}(\hat p)=\frac{p(1-p)}{n}\] より、\(n\) が大きいほど標本比率の分散は小さくなる。
答: (1) 0.5、(2) 約0.1443、(3) 「全体の人数が増えると分散は小さくなる」
連続データと正規分布
第1問 (正規分布の基本)
解答例
- 釣鐘型で左右対称である、平均付近に観測値が集中し両端ほど少なくなる、など。
- 正規分布では 平均 = 中央値 = 最頻値 である。
- 正しくない。正しくは、平均 ± 1標準偏差の範囲には約68%、平均 ± 1.96標準偏差(概ね2標準偏差)の範囲には約95% のデータが含まれる。
第2問 (偏差値)
解答例
- 偏差値は
\[50 + 10\times \frac{x-\bar{x}}{s}\]
で定義される。
- 偏差値の平均は 50、標準偏差は 10 である。
- \[50 + 10\times \frac{180-170}{10}=60\]
答: 60
第3問 人数の推定(正規分布)
解答例
標準化すると \[Z = \frac{140-120}{15} \approx 1.33\] より、 \[\Pr(X\ge 140)=\Pr(Z\ge 1.33)\approx 0.091\] したがって人数は \[2000\times 0.091 \approx 182\]
\[\Pr(120\le X\le 150)=\Pr(0\le Z\le 2)=\Phi(2)-\Phi(0)\]
\[\approx 0.9772 - 0.5000 = 0.4772\] したがって人数は \[2000\times 0.4772 \approx 954\]
答: (1) 約182人、(2) 約954人
第4問 確率の計算
解答例
\[\Pr(-1.96\le Z\le 1.96)=\Phi(1.96)-\Phi(-1.96)\approx 0.95\]
標準化すると \[\frac{70.6-100}{15}=-1.96, \qquad \frac{129.4-100}{15}=1.96\] なので \[\Pr(70.6\le X\le 129.4)=\Pr(-1.96\le Z\le 1.96)\approx 0.95\]
答: いずれも約 0.95
第5問 分散の推定
解答例
95%が中央に入るということは、
\[1.2 \approx 1.96\sigma\]
と考えればよい。したがって
\[\sigma \approx \frac{1.2}{1.96} \approx 0.612\]
よって
\[\sigma^2 \approx 0.612^2 \approx 0.374\]
答: 約 0.37
割合の推定と検定
第1問(割合の推定:標準誤差)
解答例
\[SE(\hat p)=\sqrt{\frac{p_0(1-p_0)}{n}}=\sqrt{\frac{0.6\times 0.4}{5}}\approx 0.219\]
答: 約 0.22
第2問(二項検定:\(p\)値と有意水準の解釈)
解答例
ここでは対立仮説を「有効率は50%より低い」とする片側検定と考える。 \(p\)値 0.07 は有意水準 0.10 より小さいため、「有効率が50%である」という帰無仮説は棄却される。 したがって、「有効率が50%である」という仮説のもとでは、観測された結果は比較的起こりにくく、有効率は50%より低い可能性が示唆される。
第3問(有意差なしの解釈)
解答例
- 言えること: 帰無仮説を棄却できなかった(差があるという十分な証拠が得られなかった)。
- 言えないこと: 帰無仮説が正しい、すなわち「差がない」と断定すること。
第4問(信頼区間:母比率の95% CI)
解答例
\[\hat p = 0.2, \qquad n = 625\]
まず標準誤差は
\[SE=\sqrt{\frac{\hat p(1-\hat p)}{n}}=\sqrt{\frac{0.2\times0.8}{625}}=0.016\]
95%信頼区間は
\[0.2\pm 1.96\times 0.016 = 0.2\pm 0.03136\]
したがって
\[[0.16864,\ 0.23136] \approx [0.169,\ 0.231]\]
答: \([0.169, 0.231]\)
第5問(標本誤差・非標本誤差)
解答例
- 標本誤差: 標本抽出に伴う偶然変動によって生じる誤差である。標準誤差や分散などとして数値評価が可能である。
- 非標本誤差: 非回答、測定誤差、記入ミス、調査票設計の不備など、抽出以外の要因で生じる誤差である。一般には一律の式で数値評価しにくい。
平均の推定と検定
第1問 (標準誤差と「平均の差があるか」の判断)
解答例
標準誤差は \(SE = SD/\sqrt{n}\) より、
- D病院:\(10/\sqrt{100}=1.0\)
- E病院:\(10/\sqrt{225}=10/15\approx 0.667\)
標準誤差は \[SE=\frac{SD}{\sqrt{n}}\] で表される。標準偏差が同じでも、標本サイズ \(n\) が大きいほど分母が大きくなるため、SEは小さくなる。
言えない。 標準誤差は「標本平均のばらつき」の大きさを示すものであり、平均値そのものの差の有無は、各群の標本平均やその差を実際に比較しなければ判断できない。
言えない。 ここで小さいのは「標準誤差」であり、これは標本サイズの影響を受ける。検査法の測定精度を直接示しているわけではない。
第2問 (95%信頼区間の比較と解釈)
解答例
信頼区間の中央が点推定値なので、
- F病院:\((213+227)/2=220\)
- G病院:\((218+222)/2=220\)
G病院の方が精密である。 G病院の95%信頼区間の幅は4、F病院は14であり、区間が狭いほど推定の不確実性が小さい。
いずれの区間にも200は含まれていない。 したがって、F病院・G病院ともに母平均は200と異なると5%水準で言える。
不妥当。 220は両方の95%信頼区間に含まれるため、母平均220と矛盾しない。しかし、95%信頼区間は「区間内の値が同じ確率で真である」ことや「220である確率が高い」ことを意味しない。したがって、「両群とも母平均は220である可能性が高い」とまでは言えない。
第3問(95%信頼区間に関する正誤)
解答例
- (A)正しい。 同じ手続きを何度も繰り返せば、その約95%が真の母数を含む。
- (B)正しい。 一般に \(SE \propto 1/\sqrt{n}\) であるため、例数が増えると標準誤差が小さくなり、信頼区間は狭くなる。
- (C)正しい。 連続データでは平均の標準誤差、二値データでは比率の標準誤差を用いるため、区間推定の式は異なる。
第4問(仮説検定・誤り・検出力)
解答例
(A)正しい。 帰無仮説が真であるにもかかわらず棄却する誤りが第1種の過誤である。
(B)誤り。 一般に例数が少ないと標準誤差が大きくなり、差を検出しにくくなる。
(C)誤り。 実際に帰無仮説が真かどうかは通常わからないため、個々の検定で第1種の過誤が起きたかどうかを直接知ることはできない。
帰無仮説: 差がない、効果がない、関連がない、などの基準となる仮説。
対立仮説: 差がある、効果がある、関連がある、など研究者が示したい仮説。
第1種の過誤: 本当は差がないのに「差がある」と結論する誤り。
第2種の過誤: 本当は差があるのに「差があると示せない」誤り。
検出力: 本当に差があるときに、それを正しく検出して帰無仮説を棄却できる確率。
第5問(標本平均の性質と区間推定)
解答例
\[SE=\frac{15}{\sqrt{150}}\approx 1.225\]
\[128 \pm 1.96\times 1.225 \approx 128 \pm 2.40\]
したがって
\[[125.6, 130.4]\]
答: SE は約 1.23 mmHg、95%CI は約 \([125.6, 130.4]\) mmHg
(2) 小標本での母平均の区間推定(t分布)
ある糖尿病患者群で15名を抽出して空腹時血糖値を測定したところ、平均値は102、不偏分散は12であった。
- 母平均の95%信頼区間を求める際に、どの分布 を用いるべきか述べよ。
- 95%信頼区間を求めよ。
第5問(標本平均の性質と区間推定)
解答例
- 標本サイズが小さく、母分散が未知なので t分布(自由度14)を用いる。
- 不偏分散が12なので、不偏標準偏差は \[s=\sqrt{12}\approx 3.464\] 標準誤差は \[SE=\frac{s}{\sqrt{15}}\approx 0.894\] したがって95%信頼区間は \[102 \pm t_{0.975,14}\times 0.894\] ここで \(t_{0.975,14}\approx 2.145\) より、 \[102 \pm 1.92\] なので \[[100.1, 103.9]\] 程度となる。
(3) 用語の穴埋めと説明
次の空欄を適切な用語で埋め、簡潔に説明せよ。
- 標本平均がサンプルサイズ増加とともに母平均へ近づく性質は( ア )である。
- 標本平均の分布がサンプルサイズ増加とともに正規分布に近づく性質は( イ )である。
- 母分散を標本から推定する代表的な量のうち、期待値として母分散に一致するものは( ウ )である。
第5問(標本平均の性質と区間推定)
解答例
- ア:大数の法則
- イ:中心極限定理
- ウ:不偏分散
群間比較
第1問 (2標本t検定に適した項目)
解答例
適した項目: 体重(kg)
理由: 体重は連続量であり、各群の分布が極端に歪んでいなければ2標本\(t\)検定で平均の差を比較しやすい。
補足:
- 喫煙の有無、性別は二値の名義尺度なので割合の比較が適切であり、\(t\)検定は通常用いない。
- がん病期や5段階疼痛スコアは順序尺度であり、「平均」の差より順位や分布の差として扱う方が自然である。
第2問 (ノンパラメトリック検定の選択)
解答例
候補となる検定: ウィルコクソン順位和検定(マン・ホイットニーのU検定)
ふさわしい状況の例:
- 分布の歪みが強く、正規性が期待しにくいとき
- 外れ値が多いとき
- 中央値や順位で比較したいとき
第3問 (フィッシャーの直接確率検定で注目するもの)
解答例
フィッシャーの直接確率検定では、周辺度数(各行・各列の合計)を固定したときに、観測された2×2表、またはそれ以上に極端な度数配置が生じる確率 に着目して計算する。
第4問 (2群の平均値の比較)
解答例
解析方法: 独立2群の平均比較なので 2標本\(t\)検定(実務では Welch の\(t\)検定も用いられる)。
帰無仮説: 薬剤A群と薬剤B群の平均LDLコレステロール値は等しい。
確認したい前提:
- 各群の観測が独立であること
- 各群の分布が極端に非正規でないこと
- 等分散t検定を用いるなら、極端に分散が群間で異なっていないこと
第5問 (2群の割合比較)
解答例
適した検定法: カイ二乗検定(2標本比率検定)。小標本ならフィッシャーの直接確率検定。
理由: データは二値データであり、比較対象の2群は独立しているため、2×2分割表として割合の差を検討するのが自然である。
回帰分析
第1問(解析手法の適切性の判断)
解答例
不適切な解析: B
理由: 収縮期血圧は通常 連続変数 であり、ロジスティック回帰の目的変数としては不適切である。男女差を見たいなら、\(t\)検定や線形回帰分析が適切である。
第2問(相関係数の解釈)
解答例
有意でなかったということは、標本データから線形な関連があると結論づける十分な証拠が得られなかったことを意味する。 しかし、関係が全くないと断定することはできない。標本数不足、ばらつきの大きさ、非線形関係の存在などのために、真の関連を検出できなかった可能性がある。
第3問(交絡調整と共変量の考え方)
解答例
- 目的: 交絡を制御し、群の効果をより公平に比較するため。
- 誤解と正しい考え方: 「共変量のp値が有意でないなら、その変数は調整しなくてよい」という考えは誤りである。交絡調整の必要性はp値だけで決めるのではなく、研究デザインや因果関係の知識に基づいて判断すべきである。
第4問(多変数解析の目的)
解答例
- 理由1:交絡の制御
- 理由2:複数の要因を同時に評価するため
第5問(ロジスティック回帰とオッズ比の解釈)
解答例
- 回帰係数の符号は負。
- 解釈: 介入群の発症オッズは、非介入群の 0.2倍 である。
- この情報だけでは有意とは言えない。 信頼区間やp値が必要である。
生存時間解析
第1問 (生存時間分析が必要になる理由)
解答例
- 生存時間分析のアウトカムは、ある起点からイベントが起こるまでの時間 である。
- 例1:治療開始から死亡までの時間
- 例2:手術後から再発までの時間
- 単純な平均や割合だけでは、観察期間の違い や 打ち切り を十分に扱えない。
第2問 (打ち切りの理解)
解答例
- 打ち切り とは、「ある時点まではイベントが起きていないことはわかるが、その後いつ起きるかは観察できない」状態である。
- 重要な前提は、打ち切りが予後と独立である ことである。
- この前提が破れると、生存率やハザード比の推定が偏る可能性がある。
第3問 (Kaplan–Meier曲線の読み取り)
解答例
- 縦軸は 生存確率、横軸は 時間 を表す。
- イベントが起きた時点でだけ生存確率が低下するため、曲線は階段状になる。
- 打ち切りは「イベント発生」ではなく、その時点以降のリスク集合から外れることを意味する。
第4問 (ハザードとリスクの違い)
解答例
- リスク とは、ある一定期間内にイベントが起こる確率である。
- ハザード とは、ある時点まで生存している人において、その直後にイベントが起こる勢い・起こりやすさを表す概念である。
- 同じ1年死亡リスクでも、早期にイベントが集中するか後半に起きるかで臨床的意味は異なる。
第5問 (Cox比例ハザードモデルの解釈と仮定)
解答例
- ハザード比 とは、2群のハザードの比である。
- HR=0.7:ある群のイベント発生の瞬間的な起こりやすさが、基準群の 0.7倍
- HR=1.5:ある群のイベント発生の瞬間的な起こりやすさが、基準群の 1.5倍
- 比例ハザード性 とは、時間が経っても2群のハザード比が一定である、という仮定である。
- 例:
- 確認方法:log-logプロット、Schoenfeld残差による確認。
- 対処法:時間依存共変量を入れる、層別Coxモデルを用いる、期間を分けて解析する。